カミーユ、元気かしら。

 あなたから手紙が来たとき、幻を見ているんじゃないかって思ってしまったわ。それくらい嬉しかったっていうことなの。まずは、ひとりで地球に下りてしまったことを赦してね。あの時は、ティターンズの残党がまだ残っていてカミーユにはまだ片付けなければならないことがあったでしょう。それにカミーユ・ビダンの名前はアムロ・レイやシャア・アズナブルと同じくらい有名で、大きく動く事はままならなかった。でも、私には一刻も早く時間が必要だったのよ・・・レコアや他の人たちの記憶を整理する時間がね。それをわかってほしいわ。あれからもう五年くらい経つのかしら。今でも信じられないわ。だって、エゥーゴにいた時間の方がこの五年よりも長く感じるのよ。それほど、あの時間は私の人生の中で濃密で色々なものを残したっていうことよね。戦争がなければ、私は両親を奪われることも姉妹のように育ったレコアを永遠に喪うこともなかったわ。けれど、戦争があったからこそ、私はブライト艦長やクワトロ大尉やファ・・・そして、あなたに出会った。そうじゃなかったら、私は宇宙には上がらなかったし、一生を地球の上で過ごしていたと思うの。状況が状況でなかったらどんなに素晴らしい出会いなんだろうって今でも思う。世の中ってとても皮肉に出来ているのね。あなたが、手紙の中で地球に来たら私に会えない・・・みたいな事を書いているけれど、間違っていないわね。今まで、色々な場所を旅していたの。昔暮らしていた国や、レコアと出会った場所、そして、海。海の色も空の色も、コロニーのものとは全然違うって改めて思ったわ。地球は素敵な場所ね。最初に地球に下りた頃は、首は疲れるけど、厭きもせずにずっと宙ばかり見ていました。子供みたいでしょう。書いた通り、私は比較的自由に過ごしています。技術者だという知識を活かして、エレカや自動車の修理なんかもやっているの。相変わらず、戦争は続いているけれど、あなたがモビルスーツに乗るのをやめたと聞いて安心しました。あなたはとても感受性が強くて繊細な人だから、戦争を続けていく毎に人の痛みも吸い込んでそのうち病んでしまうような気がしていたから。こういうのをニュータイプっていうのかしら、私はクワトロ大尉と違って詳しくないからわからないけれど・・・。それでも、あなたの決めた新しい選択を私はあなたらしい選択だと思って心から祝福します。そう、あなたが聞いたというグラナダでの話、私も他の人から聞いていたの。カイ・シデンさんを介して知り合ったセイラさんという人からです。セイラさんは・・・この手紙を読んでいるあなたにはもうわかるかもしれないけれど、あの人の妹さんなんですって、とても美しい人だったわ。彼女は彼のやろうとすることに呆れていたけれど、それでもクワトロ大尉がしようとしていることに哀しんでいました。大尉は・・・いいえ、シャアという人は、地球をどうにかしようとしているようですね。セイラさんはニュータイプだからという以前に彼と血が繋がっているから考えていることがある程度わかるようだけれど、これから地球を離れる便が混み始めるから、もし宇宙に用があるなら、いまのうちに行くべきだという助言をもらったの。もっとはっきりと決めておくべきだったと思う。あなたにもっとはやく告げておくべきだって。そう思ったときにはもう、あなたの隣には誰か他の人がいるんじゃないかって臆病になっていて、あなたのいる月に行く事がとても怖かった。だから、あなたの手紙を貰ったとき、私の心は決まったの。同封してくれたチケット、すぐにでも使うわね。



                                         




 

 




おぼえていますか

( もうひとりぼっちじゃない あなたといるから )







20080420@原稿完成